ホルミウムレーザー

ホルミウムヤグ(Ho-YAG)レーザー手術

当院では、最新の医療機器であるホルミウムヤグレーザーにより、前立腺肥大症や尿路結石に対し、従来よりも低侵襲で、より確実な治療を行うことが可能になりました。

ホルミウムレーザー

  • ホルミウムレーザーは水に吸収されやすいうえ、前立腺のような軟部組織や結石のような硬い組織にも使用可能です。レーザーの深達度が浅い(0.4mm)ため、組織を深く傷つけることなく手術が可能です。
  • ガラスファイバーを通してレーザーを照射することから、軟性鏡と併用することで、従来では困難な場所にある病変にも到達し、治療することが可能です。
  • 同じ道具を用いて、前立腺を 核出・止血凝固したり、尿路結石を砕石することが可能です。
ホルミウムレーザー

ホルミウムレーザーの主な手術

  • 前立腺肥大症に対する、経尿道的レーザー前立腺核出術(HoLEP)
  • 尿路結石(腎・尿管)に対する、軟性鏡尿管鏡下レーザー結石砕石術(fTUL)

経尿道的レーザー前立腺核出術(HoLEP)

前立腺肥大症には内服治療が比較的効果がありますが、根本的な治療ではないため症状が改善しても薬を飲み続ける必要があります。根本的な治療法は経尿道的 (尿道から内視鏡を挿入して行う)に行う手術です。

HoLEPは、尿道から内視鏡を挿入し、肥大した前立腺の腺腫をレーザーを用いて被膜から剥離して核出する手術です。従来の経尿道的切除術(TURP)と比べ、大きい腺腫でも確実に核出することが可能であり、出血も少ないため、体に優しい手術です。

  • 主に全身麻酔にて、平均6日間の入院で行っています。
  • デメリットとしては術後、約10%の方に一過性に失禁が起きる場合がありますが、ほとんどの方は1週間から3か月で改善します。

HoLEPとTURPのちがい

前立腺はミカンに例えられます。前立腺は皮(被膜)に包まれた実(腺腫)との間は、はがれやすい構造になっています。

前立腺肥大症の従来の手術であるTURPは、ループ状の電気メスで尿道の内側より肥大した前立腺を少しずつ切除し、チップ状になった前立腺を洗い出す手術です。ただし、切除時に出血しやすいことと、術中に潅流する水によって血液がうすまる(水中毒)欠点がありました。

HoLEPは、前立腺を肥大した腺腫だけくり抜いて(核出)、膀胱に落とし込み、その後膀胱内で腺腫を細切し回収する新しい手術です。この方法の場合、出血が少ないうえ、生体にやさしい生理食塩水で潅流しながら手術を行うため、水中毒がおきません。(電気メスを使用する場合は通電の問題があり、生理食塩水は使用できません。) またレーザーは深達度が浅い(0.4mm)ため、切開と止血を同時に行いながら、組織障害が少ないという特徴があり、本術式が可能となりました。

この手術の場合、従来の手術よりも負担がすくないため、尿道カテーテル留置や入院期間が、従来の手術の約半分になります。

HoLEP手術は、前立腺部の尿道を広げ、排尿障害を改善することが目的の手術です。特に排尿障害が強い方や、前立腺が大きい方は積極的におすすめしています。

ただし、膀胱の収縮力が弱い場合には、手術後に排尿障害が緩和しない場合があります。また、頻尿や尿意切迫感は改善する場合もありますが、改善しない可能性もあります。手術ですべての問題が改善するとは限らないため、その適応はよく相談して決めていきましょう。どうぞお気軽にご相談ください。

ホルミウムレーザー

特にHoLEPをおすすめする方

  • 比較的若い[75歳以下]
  • 前立腺が大きい[40ml以上]
  • 排尿障害が強い
  • 合併症が少ない[狭心症、コントロール不良の糖尿病など]
  • 根本的な治療を希望する方。

HoLEPをあまりおすすめできない方

  • 頻尿・切迫感はあるが、排尿障害はない
  • 重い合併症がある
  • 前立腺があまり大きくない
  • 手術を希望されない方。

軟性尿管鏡下経尿道的レーザー結石砕石(fTUL)

近年の機械と技術の進歩により、腎・尿管のどの場所にも到達可能な細径(約3mm)の軟性尿管鏡とホルミウムレーザーにより、すべての尿路(腎―尿管―膀胱)の結石に対して結石を細かく砕き(砕石)、砕いた結石を取り除く(抽石)ことが可能となりました。
また2022年10月より結石砕石効率の高い最新のレーザー機器を導入し、より安全で確実な治療が可能となりました。

経尿道的内視鏡補助下経皮的腎結石砕石術(ECIRS)

大きな腎結石に対する手術として経皮・経尿道同時内視鏡手術(ECIRS)を行うことで、効率よく大きな結石を砕石・回収が可能となりました。腎は血流が豊富な臓器であり、出血のリスクに注意が必要であるが、当院では細径かつ持続的な生理食塩水をかん流させながら手術を行うことで、侵襲を軽減し、効率性と安全性が向上した手術を行っています。

手術の流れ

  • 1)硬性尿管鏡検査

    1)硬性尿管鏡検査

    ガイドワイヤー設置

    ガイドワイヤーを腎まで挿入

    硬性尿管鏡にて拡張を兼ねた観察を行う

  • 2)尿管アクセスシース 軟性尿管鏡

    2)尿管アクセスシース 軟性尿管鏡

    尿管シース&軟性鏡挿入

    尿管シースをガイドワイヤー下に挿入

    ガイドワイヤーを抜去する

    軟性尿管鏡を挿入

  • 3)結石砕石

    3)結石砕石

    結石破砕

    適応:基本的にすべての尿路結石

    軟性尿管鏡にて尿管・腎臓内の結石をレーザーで砕石

  • 4)結石抽石(ちゅうせき)

    4)結石抽石(ちゅうせき)

    結石回収

    バスケットにて破砕片を回収
    ⇒尿管シースを利用して完全回収を目指す

    バスケットカテーテルで結石を回収

  • 5)尿管ステント留置

    5)尿管ステント留置

    尿管ステント留置

    尿管ステントを破砕片の量や粘膜損傷の程度に応じて、1日から2週間程度留置

結石長径<15mm、単発であれば、ほぼ1回で治療可能