人工膝関節センター
人工膝関節センター 診療内容・特色
平成22年4月より人工膝関節センターを国際親善総合病院に開設致しました。
人工膝関節センターは 人工関節の中でも膝関節に特化し、より専門的で、最新・最先端の治療法を患者様に提供することを目的に設立されました。
活動内容
- 患者様に正しい診断とインフォームドコンセントを含めた適切な手術説明を行い、より適確な時期に最良の手術を提供することにより、早期の社会復帰を果たすこと。
- 学術活動(講演活動・学会発表・論文発表など)を行い、対外的にも治療成績を公表し評価・批判を受け、同時に一層の成績向上を図ること。
- 人工膝関節手術について理解を深め、広く医師・理学療法士を含めた人材を育成し、啓蒙活動をすること。
主たる疾患
変形性膝関節症
大腿骨内顆骨壊死
膝関節リウマチ
脛骨顆部骨壊死
外傷後の二次的変形性膝関節症
人工膝関節手術について
人工膝関節(TKA)は変形性膝関節症の治療として1950年代に開発されました。1970年代に登場した表面置換型人工膝関節は画期的成績をもたらしました。このタイプは関節の自由度が高いため膝に加わる負荷が逃げる構造で、人工関節の耐用年数を飛躍的に改善させ、これらが今日世界中で用いられるようになりました。現在の標準的人工膝関節は、大腿骨コンポーネントはコバルトクロム合金、脛骨側はチタン合金で出来ており、それらの間にポリエチレンサーフェイスを挿入します。脛骨コンポーネントとポリエチレンサーフェイスは固定されますので、大腿骨コンポーネントとポリエチレンサーフェイスの間で屈伸・回旋することになります。膝蓋骨コンポーネントは膝蓋軟骨の状態から入れ替えるかを決定します。
全人工膝関節(TKA)について
人工膝関節手術はアメリカで年30万例、日本で年3万例に行われており、極めて安全な手術法になっています。以下に人工膝関節手術について特徴を列挙します。
- 最小侵襲手術(傷は8-12cm前後)で行います。
- クリーンルーム手術室を使用します。
- 術後の腫れを防ぐための冷却システムや血栓を予防するフットポンプを使用します。
- リハビリは専門のリハビリ療法士によって行われます。クリティカルパスに準拠します。
- 手術翌日から屈曲と歩行を開始。屈曲は1週間で120度以上になります。
- 早い方だと術後2週間で杖なしで退院可能です。退院時に曲がりは130度以上になります。
- 術後の出血も出ない工夫を行い、自己血輸血や輸血もほとんどの方で不要。
- 手術の安全性99.5%と極めて安全です。
- 人工関節の耐用年数は20年以上可能です。ハイキング・ウォーキング・ゴルフも可能です。
その他、ご不明な点があれば是非ご相談下さい。
片側人工膝関節手術(UKA)について
従来の人工膝関節は正確には全人工膝関節(total knee arthroplasty: TKA)と言います。近年従来の半分の片側人工膝関節(unicompartmental knee arthroplasty: UKA)の長期成績が明らかとなり、全人工膝関節に遜色ない成績が判明し、適応があれば、積極的にこの手術をお薦めしています。
以下に片側人工膝関節手術について特徴を列挙します。
- 人工関節の大きさは全人工膝関節の1/3位です。
- 傷は全人工膝関節よりさらに小さい傷で可能です。
- 術後のケアやリハビリは全人工膝関節と同じように行いますが、回復は極めて早くなります。
- 早い方は術後1週間で退院可能です。膝の曲がりは正座近くまで可能になります。
- 出血はさらに少なく、輸血の必要性はほとんどありません。
- 耐用年数は10年で95%-98%と極めて安定しています。
- 適応は変形の中程度までの方で、高度の肥満でない方です。
保存的治療で頻繁に注射してもなかなか完治しない方はこの手術がお薦めです。是非ご相談下さい。
その他の変形性膝関節症手術について
変形性膝関節症は中程度までであれば温存手術が適応になります。最適な方法を患者様と相談して決定します。
- 軟骨形成術:もっとも軽い手術が軟骨形成術です。剥離しかかった軟骨をきれいにしたり形成したり、合併する半月板変性断裂を掃除する手術で、3~5日の入院で松葉杖なしで退院できます。
- 高位脛骨骨切り術:何らかの理由で40歳~59歳で中程度の変形になってしまい、軟骨形成術が適応にならない方は人工関節の前にこの手術をお薦めします。近年、内側オープン楔状骨切り術ができるようになり、入院も2~3週間程度で退院できるようになりました。大腿骨内顆骨壊死にも適応になります。
- 骨軟骨移植術:40歳代以下の限局性の軟骨欠損で、面積が4c㎡までのケースには、骨軟骨移植術(モザイクプラスティー)が適応になります。これはここ10年で著しく進歩した方法です。入院も1~2週間程度です。
手術療法
手術時間は1時間~1時間30分で行います。皮膚切開の長さはMIS(最小手術侵襲)で9-11cm程度で可能で、従来の15-20cmの半分近くになっております。術前に詳細な検査を行い、それらデータから精確な骨切り角度、骨切り量を決定します。特に脛骨の骨切りに関しては追加骨切りはほとんど皆無で、自然な柔らかさを回復できるようにlaxityを決定します。術中・術後は硬膜外麻酔を併用することにより痛みは1/2から1/3に軽減し、患者様の術後の痛みの不安を和らげることができます。
リハビリ
手術翌日から歩行練習と膝の屈伸練習を開始します。早い方は術後2-3日目に90度の膝の曲がりが得られます。術後14日目に120-130度の屈曲が可能となり、杖なしで歩行できます。退院は術後15日~21日の間ですが、今後は術後2週間での退院を目標としています。
術後成績
術後は130~140度(正座は155度)の曲がりが得られます。人工関節の耐用年数は20年以上あります。マラソンなどの走ることは無理としてもゴルフ、ボーリング、日本舞踊、ハイキングなど問題なくできます。65歳時に両方人工関節手術をされ15年後の現在80歳となられ、「15年間ゴルフも旅行も自由に楽しませて頂きました」のお言葉を頂いた方もいました。術後は杖は基本的に不要となります。膝の変形・リウマチで注射やリハビリの治療で毎週通院しても十分に回復されない状況では人工膝関節手術をお薦めします。
診療のご案内
紹介状ご持参の上ご来院ください。(紹介状がない場合は特定療養費5,500円(税込))
診療時間 | 毎週月曜日・木曜日 9時~11時 |
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※何かご質問ありましたら、いつでもご遠慮なく整形外科受付までお問い合わせ下さい。
参考:高額医療制度について
人工関節術や、ほかのすべての手術についてもすべて健康保険が適応されます。さらに高額医療制度が健康保険を有する方すべてに適応になりますので、実際のお支払金額は1ヶ月で最高10万円程度(個室料など除く)です。
自己負担限度額は、80,100円+(総医療費-267,000円)×1% と計算されます。
支払方法は、
- 先に総医療費の3割をお支払いただく場合(2~3ヶ月後に保健機関から返金)
- 自己負担限度額のみお支払いただく場合があります。
詳細は当院受付でご確認ください。
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